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2011年06月29日

東電株主総会での被災者の発言要旨

 東京電力株主総会が開かれた。福島県田村市から金沢市に避難
しているAさん(70歳)総会中、「脱原発・東電株主運動」の
402人の株主が提案した「定款に『原子力発電からの撤退』の章を
新設する」議案の補足説明に立ちました。

 以下、その発言の概要を株主総会を取材した方からのメールで
もらいました。紹介します。

被災者のこの声を聞いてもまだ、「脱原発」に反対するのかな?-ここから-

 私は原発大惨事において福島県から石川県へ避難を
余儀なくされました。原発から20キロちょっとのところに
住んでおりまして避難指示を受けたものであります。
第3号議案「定款一部変更」について補足説明いたします。
株主総会開催通知9ページでございます。
 皆さま、お疲れかと思いますけれど、この私の心を少し
聞いていただきたいと思います。

 6月11日のことです。その日は雨が降っておりましたが、
母親を中心にしたグループが福島からわが社へ、
学校グランドの汚染された土の除去などを求める申し入れを
しにまいりました。事前に約束をしておりました。
しかし、雨の降りしきる中、玄関はおろかひさしがある場所にも
入れてもらえませんでした。謝罪どころか、被害者である
福島県民を門前払いしたのであります。

 一方、社長さんは避難所へ土下座をして、誠意をもって
対処したいとおっしゃいました。社長さんのおっしゃる誠意
とはどういうことなんでしょうか。

 さて、私は17年前に思い立って東京から福島へ移り
住みました。その生活が一瞬のうちに奪われました、
第二のふるさとが奪われてしまいました。ましてや先祖
代々福島で農業・漁業・酪農で生計を立てていた方々は
何もかもすべてを奪われてしまいました。将来を悲観して
自分の命を自ら絶った方がいます。

強制移住させられた飯舘村の酪農家と牛との別れのニュース
には涙を禁じ得ません。

 それに対して、わが社の役員は報酬をもらっていますが、
返上して被災地へ回すことは考えないのでしょうか。
考えませんか。

 誠意を形に表してほしいんです。例えば、南相馬市の病院
では1人の医師が1日に170人もの患者を診察しておりました。
わが社には立派な東電病院が、新宿に7階建ての病院がございます。
そこの医師と看護師さんを半数福島へ応援に出したいただけ
なかったのはなぜなんでしょうか。さらには、風評被害に
苦しんでいる福島の野菜を社員食堂で来る日も、来る日も、
また来る日も買い続けていただいておりますでしょうか。

 福島の子どもたちは屋外プールの使用を禁じられています。
校庭での活動も制限を受けております。野原でも遊べません。
育ち盛りなんです。株主の皆さん、そして役員の皆さん、
あなた方のお子さんとかお孫さんがどのようなことになるか、
福島の子どもたちに重ね合わせてみてください。

 そして、また聞いてしまいました。想定外。本当にそう
なんですか。貞観地震のことを警告されていたんです。安全性を
軽視したのではありませんか。ところで、第一原発には1号炉、
2号炉、3号炉、4号炉、5号炉のシュラウド(炉心隔壁)に
ひび割れが入っていました。シュラウドは原子炉の非常にかなめの
部分であります。その他にもトラブルが多発しております。
これは装置すなわちハードのひび割れであります。わが社の
ひび割れはハードばかりかソフトとしての組織にも及んでいます。
数あるヒューマンエラーの中でも、昨年、第一原発6号炉の
定期点検中に運転中であった5号炉のECCS(緊急炉心冷却装置)
制御のケーブルを抜くというとんでもない誤りを犯しました。
しかも1週間も。
 わが社はハードもソフトもひび割れしております。
原子力発電所を動かす資格はありません。[そうだ、の声。拍手]
ましてや原発は人の知恵、人知を超えたものです。使用済みの核燃料の
無害化の技術を人類は持っておりません。作業員の被曝と犠牲が
前提になった電気です。CO2の発生も否定できないんです。
平常時も冷却水を大量に暖かいまま海へ流しています。

 人知を超えたものは作ってはいけないんです。[拍手。その通り、の声]
子どもたちにも、孫たちにも、これ以上ツケを回してはなりません。
 福島に帰りたいんです。でも帰れない。少し大げさに言えば、
私たちは流浪の民となりました。やるせない、無念、悔しい、
どんなに言葉を探してもこの気持ちは言い尽くせるものでは
ありません。このような体験は私たちだけで十分です。

 株主の皆さん、さようなら原発、脱原発を高らかに議決して
くださるようお願いいたします。

 福島の子どもを守るグループが祈りを込めてバラを織りました。
この祈りのバラを会長さんと社長さんに進呈いたします。

 どうか祈りを共にしてください。



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