「能見~頑張れ!!」は「奇声」ではない!

鷹ぬ鳥

2020年07月16日 07:33


 新型コロナ禍の下ので有観客試合が始まっている。
ここで、聞き(読み)捨てならないスポーツ新聞記事が散見。
例えばこれだ。

 「奇声で球審が試合を中断」という記事。
中継ぎに登場した阪神能見投手がボール先行の投球
になったところで、観客から大声で「能見、頑張れ!」と
声援(他のスポーツ紙には声援の内容が正しく
書かれていた)がとんだ。球審は「声を張り上げての応援は
お止めください」のアナウンスを球場に要請したという。

1.大声での声援は新型コロナ禍では観戦マナーに
反しているから、球審の対応は正しい。球審は「大声での
応援はアカン」と言っているだけ。

2.問題は、記事を書いた記者にある。「能見頑張れ!」
は断じて「奇声」ではない。意味明確なファンの声援なのだ。
「奇声」とは意味不明の発声。「奇声」と表現して、あたかも
試合を妨害する行為のように描くこの記者の悪意を感じる。
(「奇声」というと何か差別的表現だと私は思う。なぜなら
思いを言葉で伝える術を持っていない人はとっさの時に「奇声」を
発することがあるから。しかし、その「奇声」の理由は必ず
あるのだ。健常者が気付かないだけ)

3.この記事には「『能見~!』といった声以外に奇声を発する
ファンもおり、その度に球場が笑い声に包まれるシーンもあった」と何か
問題が起きているような記述もある。野球は「間のスポーツ」だから
プレイ中はダメだが、投球練習やマウンドで投手がロージンを
使っているなどのプレイ中以外に声を出して何が悪いのか!

4.この記事を読んだ人がありきたりなコメントを得意げに
書き込んでいるのも不愉快きわまりない。例えばこんなコメント。
「あまりに改善されないようであれば、常に警備員とかを
客席の周りに配置して、ヤジや奇声等をあげた人をつかまえて
罰金等の処分を下す」と。
 これは「自粛ポリス」「ヤジポリス」だよ。自分だけが正しいと
思い込み、それ以外を許さない自己中心主義。
野球観戦の楽しみ方は色々あるのだ。強制してほしくない!

 もっと酷いコメントに「サッカーでは差別発言したら即退場、出禁に
なるでしょう。同じです
」があった。「能見頑張れ」を「差別発言」と
同一視してる勘違いコメントだ。

5.そもそも、今の若い選手も観客も若い新聞記者も「チャンステーマや応援歌を流し、
メガホンを叩き、場合によればダンスやスクワットして応援する」球団仕込み
(球団・応援団お仕着せ)のスタイルしか知らないから、筋の外れたヨタ記事が横行する。
私に言わせれば、真剣勝負の局面でトランペットや太鼓や
歌のせいで、バットが球にあたる音、ミットに入る音、空振りするバットが空気を切り裂く音など
聞こえなくされ、野球の醍醐味が奪われているのだ。

逆に、プレーの合間のヤジや声援は野球観戦の「調味料」なのだ。

5.新型コロナ禍では確かに大声の声援は慎むべきと思う。しかし、
それを「奇声」だとして「邪魔もの」扱いする
「自粛警察」まがいの報道は許せない。

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